忘れない日々
「謹慎とか退学以前に…天下の伊織様が学校行くとか、僕まじびっくり-♪」


腹が立つやら面白いやら、あたしは結局苦笑いをする。


優斗はいつもこんな感じの奴で、『男』というだけで話すならば勇樹よりも好きなタイプ。


喧嘩は強いし、根性あるし、単車の運転だって群を抜いていて、何よりこの長身とあり得ない程端正な顔立ち。


勇樹と知り合っていなけりゃ、完全にこいつにほだされていた自信がある。


「やる事ねんだよ地元じゃ。学校行くしかね-じゃん、親うるさいし。」

「またまた-♪俺に会いたくて来たんでしよ。」

「は!?また夜会うのに、あんたの顔なんか昼まで見てたくないって話!!」


真冬の晴れた空の下で、二人で乾いた笑い声をあげる。


勇樹とは、住んでいる所が少し離れてる。


あたしは三重県の松阪、勇樹は同じ三重県でも四日市。


電車で40分はかかる。


学校は伊勢。


伊勢の方が近いから、勇樹と付き合ってても松阪や伊勢の男友達と遊ぶ事のほうが俄然多い。
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