【短編】距離の仲
2
遠い。
それ以外の表現が見つからないくらい遠い地平線の先に太陽が沈もうとしてる。
夕暮れの畦道。他に人はいなくて、歩いてるのは僕と加奈の二人だけ。
特別決めたわけでもないのに僕らはこうして毎日二人で帰ってる。
随分と、昔から。
小学校、中学校、それに高校と。
色んな事が決まっていた。
歩く速度、二人の位置。帰る時間や加奈が話始めて僕が答えるってのも形骸化してる。
「明日、告白するわ!!」
そんな事を息めいて高らかに宣言するのは加奈。
僕は「あぁそう」とやる気なく応えた。
「あぁそう。ってちゃんと聞いてるの諦」
……今日もその延長。
土やら砂やらで盛られた畦道をジャリジャリ鳴らしながら相槌を打つ。
「本っっ当に諦っていつもそう。人の話真面目に聞かないからクラスでも浮くのよ」
「あぁ、そうだな」
加奈から特大の溜め息が漏れた。
これはまた、加奈が説教クサくなるかな。