きっと ずっと もっと。
「そう言えばキスも初めてだったなぁ……」

思い出したのは、全てを終えた後。


最初は優しく触れる様に。

徐々に深くなる口づけは、行為の最中、何度となく交わされた。


次第に絡まる舌と指先、視線が、逸らす事を許さない。

強張る躯を解(ほぐ)す様に、コーちゃんの長い指があたしをなぞる。


重ねられた唇の間から、零れる吐息と掠れた声。

自分の躯が自分じゃないみたいだと感じる程に、すっかり溶かされてしまったあたしの躯は、初めてとは思えぬ程容易に“幸大”を受け入れた。


痛い、とか恥ずかしい、とか思うより――何も考えられなくなった。



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