きっと ずっと もっと。
物思いに耽(ふけ)っているあたしの意識を、現実に戻したのは部屋のドアをノックする音。


「友里、起きてる?」

ガチャリと開かれたドアから現れた母は、あたしの心情なぞ露知らず、浮かれていた。


「買い物、行くわよ!」


――また、か。

有無を言わさぬ物言いの母に、買い物へ行かざるを得ない運命となったあたしは、渋々ながら支度をして。

朝食を食べ終えた後、早速とばかりに街へ連れ出された。


何がそんなに楽しいのか、母はやたらとあたしを着飾る。

ここ数年は特に買い与える服やら下着の量が増え、今や箪笥に収まり切らない程だ。
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