きっと ずっと もっと。
浮いた躯に一層深く。
あたしの目には生理的な涙が溢れる。


「コーちゃ、」

「……呼べよ、友里」

止め処(ど)ない涙を拭う様に、落とされるキス。

あたしはただただ身を任せ、波に飲まれていく。


「っ、」

一際大きな波が引き寄せた。

目の前が白く霞んで、霞んだ先に滲(にじ)んだコーちゃんの顔が見える。


「コーちゃ……、コー……タっ、……!!」


譫言(うわごと)の様にコーちゃんの名前を繰り返したあたしは、

――本日何度目かの真っ白い世界へと、意識を手離した。






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