きっと ずっと もっと。
にやりと口角を上げて笑う担任は、あたしが普段“教師”というフィルターを通して見ている“担任”とは違う気がした。

だから。

「先生が、男であたしが女……?」

どことなく兄やコーちゃんに近い雰囲気を持つ担任を怪訝そうに凝視していると、

「なんだよ? 俺だってまだ25歳だぞ。オヤジにゃまだ早ぇよ。充分に男の範疇だろ」

……一喝されてしまった。


そして、お前だってもう18歳だろ。 立派に女じゃねぇか、とも。


25歳の男と18歳の女。

それを聞いて思い浮かぶのは、コーちゃんとあたしの姿で。


あたしはぽつりほつりと話してしまった。
目の前にいる“ただの男”に。

今まで語られる事のなかった、あたしの秘密。
あたしにある“現実”全てを。
< 32 / 81 >

この作品をシェア

pagetop