きっと ずっと もっと。
いともあっさりと解に辿り着くまでを解説してみせた担任は、どうだ? 得意気ににやりと笑う。


……今まで気付かぬふりをしていた、“その”可能性。

裏を返せば“気付かないふり”をしていたって言うのは、“気付いていた”からで。


それを言葉にしなかったのは、“家族同然である幼馴染み”という名の“コーちゃんに近い場所”を失いたくなかったから。


就職に拘ったのも、就活の事を言わなかったのも、年上で大人であるコーちゃんに追い付きたかったから。
――なんて脆く、儚い。


“大丈夫”だと。

“戻るだけ”だとと言いながら、コーちゃんから逃げようとしたあたしは。
あたしは――…



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