きっと ずっと もっと。
元より実の兄よりも兄らしかったコーちゃんは、面倒見も良くとても優しい。


あたしが生まれた時には既に、此処(そこ)に居るのが当たり前と存在した家族同然のコーちゃん。

安心しきったその関係には、性別と言う括(くく)りも無いに等しかった。


だからその一言も、いつもの会話の延長線みたいなもの。

妹が兄へと疑問を投げ掛ける、ただそれだけ。


この先起こる“何か”とか、“そう”なる可能性なんて微塵たりとも考えず、あくまで純粋に思った事を口にしたまでで。

まさかその一言が延長線を越え、
――寧(むし)ろその一言で、“家族同然”は“家族ではなかった”って事を思い知らされるだなんて、15歳のあたしは予想だにしていなかったのだ。
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