きっと ずっと もっと。
そう言ったコーちゃんの顔は至極、真面目だったから。


“家族同然”って安心しきっていたのもあるだろう。

反射的にあたしは頷いて、コーちゃんの目が僅かに見開かれたのが分かった。


一度目を伏せたコーちゃんは、細い銀縁の眼鏡を徐(おもむろ)に外すと、

「おいで、友里」

いつもより幾分優しい声であたしの名を呼び、自分のベッドへとあたしを手招く。


手慣れた動作でシャツが脱ぎ捨てられ、露になる胸板。

普段は眼鏡の下に隠された鳶色。


それら全てに惑わされたあたしは、気付けばコーちゃんの腕の中に居た――…






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