原色ヤンキーにメガネ
(夏期講習なんて申し込むんじゃなかったよ。ああ、面倒くさッ)

ガヤガヤとうるさい教室の後ろから二番目の席に良子はふくれっ面でドカッと座った。

短期集中夏期講習の教室にはいつもの塾とは違う顔ぶれ。

それでもあちらこちらにグループが出来ていて楽しげな笑い声が響く。

本当は一番後ろに座りたかったが、そこには既に一つの女子のグループがいて椅子までたどり着けなかったので、一列前の椅子を引いたのだ。

ポツン、ポツンと良子の様に一人で席に着く人もいるが、『勉強してます!話しかけてくれるな』オーラが出まくっている。

ぐるっと室内を見渡して良子は眉をひそめた。

(……あぁ、最低だ)

嫌な奴と目が合った。

なんでこんな奴がここにまで出没するんだろう。

(プールがお前の縄張りなら、塾は私の縄張りに決まってんだろうが!!)

良子は本日の苛立ちを総まとめにして視線の先の人物を睨みつけた。
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