原色ヤンキーにメガネ
「あ?玉置きゅん?『きゅん』ってなんだ?」

地面の上で腰の抜けかかっている良子に玉置が手を差し出す。

(『あ?』じゃないだろーがッ!ビビっただろーがッ!あ゛!?)

と心で叫び、とりあえずは玉置の手に掴まり、立ち上がるとジーンズの汚れをパンパンと払った。

「……あぁ、『キュンキュン』の『キュン』か?その『玉置キュン』?」

(バカか!)

驚いて、『君』が『キュン』になっただけだ。

だいたいどの辺が『キュンキュン』な場面なのか逆に聞きたいぐらいである。

良子は呆れた顔で玉置に視線を送る。

「んな訳ないでしょ……。びっくりし過ぎただけだよ」

答えながら、良子は玉置の虎の絵の描いてあるTシャツをしげしげと眺めた。

「『君』が『キュン』になっただけだけど──」

(てか、そのタイガーなきゃだめ?)

やっぱり玉置がよく分からないセンスの持ち主な事を確信した。
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