原色ヤンキーにメガネ
あの梅雨の日の放課後、教室で『じゃ明美、明日そのファンデと口紅買ってきてよ。よろしくね』と葉月の声が響いた。
教室に忘れたメガネケースを取りに戻った良子はドアの陰で偶然その会話を耳にして、面倒には巻き込まれたくないとそのまま踵を返した。
そして数日後の昼休み、葉月は『わぁ、いいじゃん。新作じゃん?』と取り巻きに囲まれながら新しい化粧品達を机の上に広げ、なぜか明美は一人でポツンと離れた席に座っていた。
その背中が少し震えていた気がしたが、自分には関係ないと良子は見て見ぬ振りをした。
(大した事じゃない)
明美が買わされたという確証だってないし
(あれは大した事じゃない)
本当は
五月に良子に『N大の推薦の話をしてきた葉月』と合わせて考えれば
そこで起こっている事は容易に想像できた。
教室に忘れたメガネケースを取りに戻った良子はドアの陰で偶然その会話を耳にして、面倒には巻き込まれたくないとそのまま踵を返した。
そして数日後の昼休み、葉月は『わぁ、いいじゃん。新作じゃん?』と取り巻きに囲まれながら新しい化粧品達を机の上に広げ、なぜか明美は一人でポツンと離れた席に座っていた。
その背中が少し震えていた気がしたが、自分には関係ないと良子は見て見ぬ振りをした。
(大した事じゃない)
明美が買わされたという確証だってないし
(あれは大した事じゃない)
本当は
五月に良子に『N大の推薦の話をしてきた葉月』と合わせて考えれば
そこで起こっている事は容易に想像できた。