原色ヤンキーにメガネ
(でも面倒な事は嫌いだ。それに、私は助けを求められているわけじゃない)

良子は広げていた本に無理矢理に意識を集中させた。

そして、厚い壁に囲まれた部屋で懸命に目を逸らした。

けれど気づいてしまった事実はいつまでも良子の心の奥底でくすぶり続ける。

自分だけは騙せない。

だから良子は明美を見るのが嫌いだった。

自分の汚い部分を見せつけられるようで、明美本人には好感を抱きながらも直視できなかった。


(でも……もうそれも今日でおしまいだ)

良子は明美の目を見つめた。
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