原色ヤンキーにメガネ
いる、いらない、見やすい、見づらい……と次々に問題集を分ける良子。

その斜め左前方のカウンターの中でテレさんが気になる声をあげた。

「アー、コバヤシガウザイ」

(……こばやし?ですか?)

「ドウニカナンナイカネ、コノコバヤシ」

『この小林』とは……

どの『小林』なのか。

「コロシテヤリテェ……。クスリアッタカナ……」

(ちょっと、ちょっと。テレさん幻覚でも見てんじゃないの?)

店内を見渡すが、小林さんに匹敵する人がいるわけもなく。

当たり前だが、開店前の店内には良子と玉置とテレさんしかいない。

キョロキョロし出した良子を尻目に、ガタガタと玉置が椅子から立ち上がり、一度店の奥のドアに消えた。
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