月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理
「達郎は選挙行くの?」

「当たり前だ」

「へぇ、あんたも浮世に興味あるのね」

「人を仙人みたいに言うなよ」

「マイペースなのは一緒でしょ」

「レミ、事件の話に戻ってくれ」

あ、ゴメン。

「翌日、つまり一昨日になってB県にある西本の選挙事務所から、春代に電話があったの」

電話の内容は

『西本先生が到着されてません』

「捜索願はすぐに出されたのか」

達郎の問い掛けにあたしは首を振った。

「選挙前の大事な時期ってことで内々で解決しようとしたみたい。第一秘書の山室が中心になってあちこち探し回ったそうよ」

ところが西本は見つからなかった。

脱税の嫌疑がかかっている身で、最悪の事態も考えられた。

そこで春代らは所属政党や後援会とも相談し、昨日になって警察へと捜索願を出した。

「警察はパニックになっただろうな」

「パニックにはならなかったけど大騒ぎはしたみたい」

捜査二課はあわてて行方を追った。

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