月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理
そして捜査の結果、B県の別荘地で西本の携帯の電波を受信。

春代や山室に心当たりを訊いたところ、春代の名義で購入した別荘が浮かんだ。

「その別荘で西本は死んでいたそうよ」

別荘の駐車場からは西本が運転してきた車も見つかった。

「死因はなんだ」

「毒物による中毒死。青酸カリよ」

「西本が所有してる別荘は他にもあるのか」

「一件だけよ」

「別荘が春代名義になってたのは?」

「税金対策のためのアレコレといった理由ね」

「内々の捜索で山室はどうしてすぐに別荘に行かなかったんだ?」

「まさかこんな時にと、思い浮かばなかったそうよ」

「ふぅん…」

達郎は唇を尖らせた。

「レミは現場を見たのか?」

あたしはうなずいた。

死んだのが疑惑を抱えた政治家だけに事件性も考えられる。

捜査一課に出動要請が来たのは考えられる流れだった。

「現場を見てどう思った?」

達郎の口調には明らかに疑いの色があった。

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