月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理
「なんだ梅谷さん麦茶に砂糖を入れてくれてないや」

「小学生かアンタは」

顔をしかめた達郎に呆れながらも

「おかしな点ならまだあるわよ」

あたしは話を戻した。

「リビングの窓には全て鍵がかかってたの」

シャッターやブラインドも降りたままだった。

「なのにね、エアコンのスイッチが入ってなかったのよ」

あたしと達郎の間にしばらく沈黙が流れた。

「それっておかしなことなのか?」

達郎はようやくといった感じで口を開いた。

「だってさ」

あたしはここ数日の天候を思い出しながら必死に訴えた。

「このところ、ずうっと熱帯夜だったじゃない」

「西本が死んだのは?」

「死亡推定時刻は3日前の午後10時前後から未明にかけてよ」

「まぁここんとこずっと暑かったよな」

「でしょ? 閉め切った暑い部屋の中でエアコンつけない人間がいると思う?」

「エアコンのスイッチが入ってなかったのは確かなのか」

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