月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理
微熱なしの真相
一週間後、あたしは再び月見家を訪ねた。

お婆ちゃんは出かけていたが、梅谷さんが出迎えてくれた。

「達郎います?」

「達郎さんならお部屋ですよ」

部屋のドアを開けると、そこにはデスクトップのパソコンに向かっている達郎がいた。

白いシャツに黒のスラックス姿。

パジャマではない。
部屋のエアコンもついていた。

「風邪直ったみたいね」

「おかげさんで」

達郎はパソコンのキーを叩きながら答えた。

「また翻訳?」

画面には見たこともない文字が並んでいた。

「こないだの翻訳が評判良くてね。第2弾を頼まれたんだ」

第1弾がなんだったのかすら良くわからなかったあたしには、ふーんとしか言い様がない。

てか第何弾っていうのかこういうのって。

「もしかしてまた徹夜しているの?」

「まさか」

モニターを見たまま達郎は首を振った。

「こないだの件で婆ちゃんに散々しぼられたばかりなんだ。もう無茶はしないよ」

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