月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理
「そんなことないわよ、お婆ちゃん」

達郎に迷惑かけられた事は1度や2度ではないが、ここは大人の態度をとることにした。

「達郎には何度も助けてもらってるわ」

これは事実。

「それならいいんだけどねぇ…」

お婆ちゃんはまだ疑ってるようだ。

あたしは話題を変えることにした。

「達郎の具合はどう?」

達郎が夏風邪をひいたと知ったのは今日。

ある事件の相談をしようとメールをして知った。

「熱はだいぶ下がったのよ」

「じゃあもう大丈夫なの?」

「治りかけが肝心だからまだ寝かせてるわ」

お婆ちゃんは達郎の部屋のドアをノックした。

「達郎。麗実がお見舞いに来てくれたわよ」

しかし部屋から返事はなかった。

「達郎?」

お婆ちゃんはドアを開け固まった。

部屋に達郎の姿は無かった。

ベッドにはシワだらけのシーツのみ。

「あの…」

気付くと、背後に梅谷さんがいた。

「達郎さんなら先ほど書斎に行かれましたが…」

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