月と太陽の事件簿8/微熱混じりの推理
なんとかお婆ちゃんをなだめ、あたしは達郎と共に部屋に戻った。

「婆ちゃんも大袈裟だよなぁ」

ベッドの上であぐらをかきながら、達郎は首をかしげた。

「お婆ちゃんはあんたの心配をしてるのよ」

たしなめるついでに椅子に腰掛けた。

25歳とはいえ現役大学生だけあって、達郎の机の上には本やノートがたくさん置いてある。

置いてあると言うよりは乱雑もしくは山積みといった感じだったが。

あたしは本とノートの隙間に肘をかけた。

「熱は下がったって聞いたけど」

「いま37℃ジャスト」

ジャストって言うのか、この場合?

「まだ微熱あるじゃない。大丈夫?」

「ひき始めはもっとひどかったから」

「一体どうしちゃったっていうのよ」

馬鹿は何とかと言うつもりはないが、達郎は病気にあまり縁はない。

小さい頃からお婆ちゃんが食事に気を使い、規則正しい生活をさせてきたからだ。

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