君が笑顔になれますように
驚く私に表情一つ変えない准は、私の隣にしゃがむと…



「まだ当分、止みそうにないから使えば?」



そう言って、傘を突き出すようにして私に差し出した。



“だって私が使ったら、あなたは…?”



そう言おうとする間もなく、准はスッと立ち上がって雨に濡れながら走って校舎を飛び出して行った。



私は准が貸してくれた傘を手にしたまま、しばらくその場を動けなかったんだ…。



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