君が笑顔になれますように
「俺は嬉しかったんだ…。父さんが死んでから、あまり外にも出ようとしなかった母さんが一緒に海に連れ出してくれたから。俺と手を繋いで歩く母さんは、久しぶりに笑ってくれていた…。だけど……」



准は、言葉を詰まらせる。

「准……?」



私が呼びかけると、准は止めていた言葉を再び続けた。




「その時に、母さんが近くの自販機に飲み物を買いに行ったんだ。“すぐ戻ってくるね”って笑顔で言われて、俺は海辺で遊んで待ってた。でも、それっきり母さんは戻って来なかったんだ…。」




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