君が笑顔になれますように
私は、お父さんもお母さんもいるし、家庭の中だって温かくて幸せだなって、いつも思ってる。



だから、もしそれが失われたら…なんて考えるだけでも胸が騒めく。



准の傷の深さって私の想像もつかないくらい深いのかもしれない。



私は、佐伯さんと話をしている准に視線を送った。



「私もね…准とは本当の姉弟じゃないの…。遠い親戚でね…。准の母親が失踪した後に、准は色々な親戚の家を転々とさせられて、私の家に来たんだ…。」



舞実さんは、水の入ったグラスを見つめた。



私は、言葉も出て来ない…。



私の知らなかった准の過去が、こんなに重くて悲しくて苦しいものだったなんて…。



普段の優しい准が背負っていたものの大きさに、涙が込み上げてきた。



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