きみとベッドで【完結】
シキの吹くサックスの音色は、
シキの声に似ていた。
落ち着いていて、深いところで響く心地よい声。
あれは男の客が多かったのもうなずける。
男なら、あの声に恋をする。
どんな男でも。
「妬けるな」
「……え? なにが?」
「おまえのサックスを聴いてる、俺以外の男にだよ」
「あはっ。変なの。サックス吹いてるだけなのに? あたしのサックスを知ってる男より、あたしと寝た男の方が多いかもしれないよ?」
「おまえはどれだけ男をたぶらかしてきたんだよ……」
呆れながら、俺も星を見上げた。
かすかに夜空に光る星が、ちらほら見える。