きみとベッドで【完結】
「なに……これ」
グラスを持ったまま固まるシキ。
俺はうしろからそっと、彼女を抱きしめた。
「バースデイケーキ」
「なんで……」
「今日誕生日だから。俺の」
「……え?」
シキは驚いたように、俺を見上げる。
ずいぶん子どもっぽい表情だと思った。
「先生の、誕生日?」
「そう。7月7日、俺の誕生日。それで……おまえの誕生日にすることにした」
シキは唖然としている。
ちょっと、クサかったか。
「しょうがないだろ。おまえは誕生日を忘れたっていうしな。だったら一緒にして、毎年同時に祝えばいい」
毎年、と強調した。
来年も、こうして七夕の夜をともに過ごそう。
そう聞こえるように。