きみとベッドで【完結】


タバコが吸いたくなって、


そっとベッドを抜け出した。


シキが起きないことを確認してリビングへ。



その部屋には吐き気がするほど、


甘ったるい匂いが満ちていた。



「くせぇ……」



テーブルに置かれたままの、真っ赤なバラの花束。


花なんて送る奴の気がしれない。


邪魔だし、くさいし、水を換えるのは面倒だし、



なにより、捨てる時あまりいい気持ちがしない。


花は、どうも好きじゃない。


好きになれない。



スーツのポケットを探ったら、空の煙草のパッケージがでてきた。



「予備買ってたかな……」



一応鞄の中も確認する。



そこで、目にしてしまったのは、

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