きみとベッドで【完結】
「ああ、そうか。おめでとう」
忘れてたというように、俺は言った。
「えー。それだけですか?」
「不満か? 愛好会のメンバーだからって、他の生徒より特別に扱ったりはしないんだよ、俺は」
「顧問なんですから、ちょっとくらい特別扱いしてくれてもいいのに」
浅倉は小さな唇を尖らせた。
俺は冷静なふりをしながら、動揺していた。
どうして今日、会ってしまうんだ。
「そうだ。先生、CD聴いてくれました?」
「あー……いや。まだ聴いてない」
「……本当に?」
じっと浅倉があの大きな目で、俺の顔をのぞきこんできたから、
俺は体を離して煙りを吐いた。
「なんで?」
嘘をつくところだったか、わからなかった。