きみとベッドで【完結】
わからないことはないか。
わかってて、こう言ってきてるだけのこと。
「すみません。……とりあえず、そちらに戻ることになると思います。お話ししたいこともありますので」
『あら。なにかしら?』
声のトーンが変わる。
ぴりりと空気が張りつめたのが、電話越しでも伝わってきた。
きっとこの人はいま、ものすごい目で見えないあたしを睨んでる。
「それは、戻った時に」
『そう? それならお義母さまにもお伝えしておきます』
「よろしくお願いします」
用がすんであたしはさっさと通話を切り、
ケータイをロッカーの壁に叩きつけた。
液晶が割れて、光を失う。
それでもちっとも、心は晴れなかった。