きみとベッドで【完結】
通された2DKの部屋は、前とあまり変わっていなかった。
コンクリートの打ちっぱなしの壁。
黒いテーブルに広げられたスコア。
床に転がるスティックと、
ストッキング。
相変わらずだ。
「ああ、失礼」
悪びれない様子で肌色のそれを拾い上げて、
幹生はあたしをソファーへ促す。
遠慮なく座ってクッションを抱くと、
幹生の香水の匂いに混じって、女の匂いがかすかにした。
ここで過ごしたのは短い時間。
あまりその時の記憶はない。
でも、
目の前のうさんくさい笑顔の男が、ずっとあたしを温めてくれていたことだけは、
なんとなく覚えてる。