きみとベッドで【完結】
だからだろうか。
あたしの中で、幹生の存在は特別な位置にある。
他の体を重ねてきた男たちとは違う。
具体的にどうと言うのはとても難しいけれど、
たぶん、大切なんだと思う。
失いたくない。
そういう意味では、
幹生は先生よりずっと、あたしの心のそばに立っているのかもしれない。
「で? どうしたの」
冷たいウーロン茶が出されて、
あたしはグラスの水滴を指ですくった。
「あんたに会いたくなった」
「へぇ? うれしいなぁ。俺のものになる気になった?」
「絶対なんない」
幹生は肩をすくめて、あたしの横に座る。
気安い仕草であたしの肩を抱く。
あたしはそれを、黙って許す。