きみとベッドで【完結】
「先生」
俺を呼ぶ声は不安げなものになり
「先生」
意味もなく繰り返し呼んできては
キスをせがむ彼女は、
まるで子どもになったように見えた。
「安藤先生!」
「わっ」
ぼうっと外を見るともなしに見ていた俺。
その耳元で思い切り名前を呼ばれて驚いた。
「もう、何回も呼んでるのに」
「ああ……浅倉か」
「暑さにやられちゃったんですか?」
「いや、悪い。なんだ?」
浅倉は帰り支度は万端なように見えた。
今日は気温30度を軽く超えている。
これだけ暑いのに、浅倉は制服をきっちり着ていて、
長い髪はさらさら、汗ひとつかいていない。
隙のなさすぎる優等生だ。