きみとベッドで【完結】
正直に言うと、まだ聴いていない。
開けてすらいない。
もっと言うと、もうないのだ。
CD自体。
七夕の夜、1度は聴こうとしたがやめて。
朝目が覚めたら捨てられていた。
わかりやすく、これ見よがしに。
俺が捨てた赤いバラの花束。
それと同じゴミ箱にCDは捨てられていた。
お返し、とでもいうように。
俺はなにも言わなかった。
シキもなにも言わなかった。
お互い拾うこともしなかったから、それで終わった。
そういうことなのだろう。
俺たちにはもう、いらないものということだ。
「聴いたよ。やっぱよくわからなかったけど」
聴いてないと答えたら、いつまで経っても浅倉に絡まれる気がして、
そう答えて終わらせようと思った。