きみとベッドで【完結】
魅力のある人間は、埋もれようとしても輝いてしまうものなんだと、
多くの生徒たちを見ているとわかる。
浅倉は本当に、男女問わずに人気があった。
孤独なイメージをまとうシキとは、正反対だ。
正反対でよかったと、心から思う。
「安藤先生―! またあとで!」
浅倉が俺に向って大きく手を振る。
本当に無邪気だ。
そして人気者の優等生は、友人たちと生徒玄関へ消えていった。
浅倉は変わらない。
おそらくは、俺への気持ちもそのままなのだろう。
ただ、あからさまな好意を見せてくることはなくなった。
時折なにか言いたげな目線を送ってくることはあっても、
前ほど気まずい空気をつくることはなくなった。
俺が浅倉を生徒として、はっきりと線引きしたことが伝わったんだと思う。