きみとベッドで【完結】
「まだ先生、前と同じケータイ使ってる?」
「……ああ」
「じゃあおそろいだね」
あたしが以前使っていたケータイは、
レンタルロッカーの壁に叩きつけた時に壊れてしまった。
だから新しいのを買う時に、先生が使っていたものと同じ黒いケータイにした。
これも手段のひとつだ。
ストラップ1つついていないケータイをしまって、あたしは2人の顔を交互に見た。
「じゃああたし帰るね。2人とも、明日からよろしく」
先生も姫衣も、まだまだなにか言いたげな顔をしていたけれど、
2人ともなにも言わなかった。
だからあたしは構わず笑顔で、小さな音楽室をあとにした。