きみとベッドで【完結】
いつ、どこで。
去年6月のはじめ頃、夜の街で。
それが答えのはずだった。
けれどシキは俺たちの前でこう言っていた。
『出会ったのはあんたより前だよ』
俺と浅倉との出会いより、俺とシキとの出会いの方が早かったと。
彼女はそう言った。
もちろん俺にそんな覚えはなかった。
6月のあの夜が、シキとの初めての出会いだと思っている。
嘘ばかりの彼女だったから、また意図不明の嘘なのかもしれない。
けれど
俺の中で妙に引っかかっている。
俺に嘘だとわかるような嘘をついて、
一体なんの意味があるというのか。
その俺の答えがごまかしだと思ったのか、
そのあと浅倉はなにも聞いてこなかった。