きみとベッドで【完結】

俺のせいで彼女は俺のもとからいなくなり、


また俺の前に戻ってきたというのか。



「意味がわからない」


『あたしは嘘だらけだったから。シキなんていういもしない女のまま、先生に愛されちゃいけないと思ったの』



だから、俺の前から姿を消した。


俺は黙って聞きながら頭をおさえた。



『だから真面目に学校に行って、知らない男と寝たりしないで更生して。
シキじゃなくて本当のあたしとして、先生にもう1度会おうと思ったの』



だから、女子高生の姿で俺の前に現れた。


きちんと愛してもらえる人間になって。



なるほど、納得できる説明だ。


けれどそれは、真実だろうか。



『先生。女子高生のあたしは嫌い?』


「シキ……」


『シキじゃないって言ったでしょ』



子どもに言い聞かせるような言い方だった。

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