きみとベッドで【完結】
小さく笑って、
シキは『おやすみ、先生』と言ってあっさりと通話を切った。
繋がりの切れたケータイを、俺はしばらく見おろして、
それから部屋の窓から夜空を見上げた。
月も星も雲に隠された、花冷えの夜。
こんな夜にシキは、ひとりきりの部屋で小さくまるくなりながら眠るのか。
震えて眠る彼女の姿が目に浮かんだ。
いますぐ彼女の元に駆けつけて、抱き締めて眠ってやりたい気持ちにさせられた。
あたたかいココアをまた以前のように、いれてやりたいと強く思った。
けれど、それはもうできない。
キッチンの方に目をやれば、
シキが飲みきらずに残していった、ココアの粉の袋が並んでいた。
いつまで置いておくのか、自分でもわからなかった。