きみとベッドで【完結】
あれからシキとは話していない。
もっと絡まれるのではと予想していたのに、
彼女はちっとも俺のそばに寄ってはこなかった。
俺との関係を学校側に言うつもりも、
浅倉に言うつもりもないらしいシキ。
だったら本当に、俺とイチからやり直すつもりでこの学校に来たのだろうか。
電話もメールもなく、
俺は毎日こっそりと学校で彼女を目で追い、
夜はケータイを前に悩んでいる。
初めて恋をした、男子中学生のように。
情けない。
そう思った時、気づいた。
黒い制服の彼女が前庭で立ち止まり、
こっちを見上げていることに。
「シキ……」
俺の声が聞こえたかのように、
彼女はかすかにほほ笑んで、ふいと顔をそらして玄関に消えていった。
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