きみとベッドで【完結】





あれからシキとは話していない。



もっと絡まれるのではと予想していたのに、


彼女はちっとも俺のそばに寄ってはこなかった。



俺との関係を学校側に言うつもりも、


浅倉に言うつもりもないらしいシキ。



だったら本当に、俺とイチからやり直すつもりでこの学校に来たのだろうか。



電話もメールもなく、


俺は毎日こっそりと学校で彼女を目で追い、


夜はケータイを前に悩んでいる。



初めて恋をした、男子中学生のように。




情けない。



そう思った時、気づいた。



黒い制服の彼女が前庭で立ち止まり、


こっちを見上げていることに。




「シキ……」




俺の声が聞こえたかのように、


彼女はかすかにほほ笑んで、ふいと顔をそらして玄関に消えていった。










_______
_____
< 197 / 339 >

この作品をシェア

pagetop