きみとベッドで【完結】
「クラスにいると、浅倉姫衣のいとこっていう品行方正なお嬢さんを演じなきゃいけないから。
面倒で逃げてきたら先生がいただけ」
「面倒なら演じなきゃいいだろ」
「んー。でも演じなかったらもっと面倒なんだよ?」
肩をすくめる彼女の顔。
目の下に濃いくまがしっかりとできていた。
美人が台なしだ。
「……眠れてないのか?」
つい手を伸ばして、シキの小さな顔に触れた。
びくりと体を揺らしたが、彼女はおとなしく俺の手を受け入れる。
しっとりとした肌はなつかしい感触。
けれどずいぶん顔色が悪い。
「ひとり暮らし、向いてないんじゃないのか」
「じゃあ、先生が一緒に住んでくれる?」
「……バカ言うな」
俺が手を離すと、シキは一瞬悲しげに瞳を揺らした。
本当に、勘弁してほしい。