きみとベッドで【完結】
視界から消えた男の代わりに、
幹生がものすごく鋭い目をして立っていた。
つねにうさんくさい笑顔を張りつける幹生からは
想像もできない顔。
「大丈夫かシキ」
いつもの甘さが削ぎとられた低い声。
「ぁ……っ」
大丈夫。
そう答えようとしたけれど、声は出なかった。
それで幹生は表情を険しくさせて
ふき飛んだ男を見下ろす。
「うぅ……くそっ! なんだおまえは!」
蹴られたわき腹を押さえ、咳こみながら立ちあがる男。
あたしの震えは止まらない。
「俺はこいつの父親だぞ! こんなことをしてただで済むと、思ってるのか!
オルハ、おまえもだっ! ひとり暮らしは男を連れこむのが目的か!?
この淫売が!」