きみとベッドで【完結】
「お願……から、もう……てよ……」
浅倉の涙声。
俺は音をたてないように、階段を1段ずつ降りる。
はっきりと声が聞こえるところまできて、足を止めた。
すぐ下に2人が見える。
「あたしがなにをしたっていうの……?」
ぐすぐすと、
浅倉が泣き、鼻をすする音がする。
細い肩が小刻みに揺れている。
「姫衣は……」
長い沈黙のあと、
シキが冷えた声を出した。
「自分の幸せが、どれだけの犠牲のうえに成り立ってるか。考えたことがある?」
「え……?」
「ないだろうね。それが当たりまえだと思ってるんだろうから」
だからあんたのことが、死ぬほど嫌い。
笑いながら、シキが囁いた。