きみとベッドで【完結】
クラスメイトたちが皆、名取織羽という生徒を気にしてちらちらと視線を送っているのに、
彼女自身は気にもとめていないようだ。
シキはたぶん、自分で思っているよりもずっと、
人を惹きつける魅力を持っている。
存在感だけで言うなら、浅倉以上かもしれない。
そのことに、彼女は気づいていない。
「安藤先生、なにぼーっとしてるの?」
「え」
声をかけられ、はっとして前を向くと。
愛好会メンバーがそろって俺を囲んでいた。
浅倉はその少し後ろで、責めるような目で俺を見ていた。
「最近先生、変だよねー」
「うん。しょっちゅうぼーっとしてるしぃ」
「……気のせいだろ。ほら、教室入れ」
生徒たちを促しながら、最後にもう1度シキの方を振り返ったら、
あの猫を思わせる瞳が、じっと俺を見つめていた。