きみとベッドで【完結】
たぶんその答えはとっくに、俺の中で出ている。
だが俺は臆病で、その答えを直視できずにいるだけだ。
「情けねー……」
ひとり呟いた時、くつ音がして顔を上げると。
ピアノの横に浅倉が立っていた。
「浅倉!? なんで……ここにいる。まだ授業中だろ」
「ちょっと体調が悪くて、出てきました」
「そうか。でもここは保健室じゃないぞ」
「先生こそ。ここは喫煙室じゃないですよ」
そう言って困ったように微笑む浅倉は、少し大人びて見えて。
シキの面影がちらついてどきりとした。
「なんとなく、先生がここにいる気がしたんですよね」
ピアノのふたを開け、浅倉の指がレの音を弾く。
「具合が悪いなら、保健室まで送ろうか」
ここにいない方がいい。
そんな予感がして、煙草を戻し立ちあがる。