きみとベッドで【完結】
「待って、先生」
浅倉の手が、俺の袖をつかんだ。
「先生今朝……オルハのこと、見てましたよね」
「見てないよ」
「うそ。絶対見てました。……先生は、オルハと付き合ってるんですか」
前にも似たような質問をされたことを思い出す。
あの時はぐらかしたのは、
シキとの関係が俺自身もよくわかっていなかったからだ。
だがいまはおぼろげに見えている。
俺は、そう……
「付き合ってない。俺の……片想いだ」
浅倉の目が、見開かれた。
そう、俺はシキに片想いをしている。
まんまとシキの思惑どおり、彼女に惚れて。
愛し合っていると夢を見て。
謀られたとわかっても、彼女への気持ちは消えずに残っている。
それはつまり、
ただの片想いということなのだ。