きみとベッドで【完結】
「じゃあ、シキを好きになったのは、あたしと似てたからですか?」
「はじめはな」
「それなら……あたしでも、いいじゃないですか」
浅倉の、ピアノを弾くための細く長い指が、
俺の骨ばった指に絡められる。
驚いて手を引こうとしたら、そのままぎゅっと手を握られた。
「顔で好きになったなら……あたしでもいいじゃないですか」
「そんなわけないだろ。なに言ってるんだ」
「だって! はじめはあたしのこと、想ってくれてたって!」
「はじめはって言っただろ。いまは……ちがう」
浅倉を期待させてはいけない。
俺は浅倉が傷つくだろうことは承知で、はっきりと言った。
きっかけは顔だった。
だが好きになったのは、そこじゃないのだ。