きみとベッドで【完結】
シキよりも少し背の低い浅倉。
頬の当たる胸の位置が、シキの時とちがうことを妙にはっきりと感じた。
「浅倉、俺は……」
「先生。これできっと、はっきりします」
「だが、」
「先生はいま、シキに惑わされて自分を見失ってるだけなんです。
あたしが、目を覚ますお手伝いをしますから」
瞳をうるませて、浅倉が背伸びをする。
つややかな唇が、ゆっくりと近づいてくる。
自分を見失っているだけ。
そうなのだろうか。
浅倉の言う通り、俺はいま俺でなくなっているのだろうか。
浅倉と生徒との一線を越えれば、
夢から覚めて苦しみから解放されるのか。
シキへのこの抑えきれない気持ちも、
幻となって消えるのか。
俺は浅倉の言葉と瞳に誘われるように身をかがめ……
キスをした。