きみとベッドで【完結】
シキとはちがう肩の幅。
シキとはちがう髪の匂い。
シキと似た顔をした、シキではない少女。
少しの緊張、不安、期待。
それらを胸の中で整理しきれないまま、
俺は浅倉に唇を重ねた。
悪い夢から覚めて、
俺はまた平穏な日々を取り戻す。
その、はずだった。
だが浅倉の唇の柔らかさを頭が理解するよりも前に、
俺の中で爆発しそうなくらい大きく膨れ上がったのは、
嫌悪感だった。
浅倉に対しての嫌悪ではない。
ばかなことをしている、俺自身への吐き気がするくらいの嫌悪感だ。
「きゃっ!?」
気づけば俺は、浅倉の体を突き放していた。
目の前の体がバランスを崩し、ピアノの鍵盤に思いきり手をついた。