きみとベッドで【完結】
◆徒花‥‥side ANDO
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6月のはじめ頃、猫を拾った。
宿代のかわりに体をさし出す、淫靡な猫だ。
肩につくかつかないかの、つややかな黒髪、
男を誘う、ぬれた黒い瞳。
夜でも目立つ白い肌と、赤い唇。
細く長いしなやかな手足。
きみは本当に猫のようで、人ではない気さえした。
その黒猫の名前はシキ。
たぶん、あだ名かなにかなのだろう。
本名を聞いても、きみはシキ以外の名前は忘れたと、笑ってはぐらかした。
見た目は少女のようなのに、きみの笑顔はずいぶんと大人びていて、
俺より年上に思えることすらあった。
きみは24だと言っていたが、本当のところはどうなのか。
もっと上かもしれないし、下かもしれない。
しかししつこく聞いたら逃げていってしまいそうで、俺は深く問うことはできなかった。
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6月のはじめ頃、猫を拾った。
宿代のかわりに体をさし出す、淫靡な猫だ。
肩につくかつかないかの、つややかな黒髪、
男を誘う、ぬれた黒い瞳。
夜でも目立つ白い肌と、赤い唇。
細く長いしなやかな手足。
きみは本当に猫のようで、人ではない気さえした。
その黒猫の名前はシキ。
たぶん、あだ名かなにかなのだろう。
本名を聞いても、きみはシキ以外の名前は忘れたと、笑ってはぐらかした。
見た目は少女のようなのに、きみの笑顔はずいぶんと大人びていて、
俺より年上に思えることすらあった。
きみは24だと言っていたが、本当のところはどうなのか。
もっと上かもしれないし、下かもしれない。
しかししつこく聞いたら逃げていってしまいそうで、俺は深く問うことはできなかった。