きみとベッドで【完結】
「何時になってもいい。うちで、俺の話を聞いてくれ。おまえが好きな、ココアを用意して待ってるから」
シキは黙りこんでいた。
何分でも、何時間でも待つつもりだ。
この電話が繋がっているうちは。
『先生のココアは、飲みたいかもね……』
しばらく沈黙が続いたあと、シキはぽつりとそう言った。
穏やかな声にほっとしたが、
俺の期待はすぐに打ち消された。
『最後に1杯だけでも、飲みたかったよ』
「……最後?」
『先生。あたしはもう学校には行かないし、先生にも会わない』
いきなり、なにを言っているのか。
学校に来ないのは構わない。
選ぶのはシキで、それは彼女の自由だ。
俺としてもその方がうれしい。
シキを生徒として見ることはできそうにもないからだ。