きみとベッドで【完結】
そしてきみは悪戯か嫌がらせか、
俺のことを“先生”と呼んでいる。
「先生」
呼ばれてはっとして顔を上げると、
目の前に制服を着たシキがいた。
「先生?」
「ああ……」
ちがった。シキではなかった。
ここは俺の勤めている高校の、第2教室。
シキが学校にいるわけがない。
「聞いてました? 先生」
「いや、悪い。聞いてなかった」
机の上には開かれたままのノートパソコン。
そうだ、テスト問題を考えていたんだ。
音楽室には俺と、声をかけてきた女子生徒しかいない。
「他の奴らはまだなのか」
「はい。委員会、長引いてるみたいですね」
そう言って時計を見上げる生徒の横顔に、シキが重なる。